仕事観「まちのキーマン」

草地博昭(磐田市議会議員)

人・モノ・食
世の中には、さまざまな仕事や働き方があります。そこで多種多様な職種の人たちにスポットをあて、仕事について訊く本連載「仕事観」
第5回は、静岡県磐田市の市議会議員として人々の住みやすいまちにするため日々奮闘している草地博昭さん。草地さんにとって仕事とはなにかを伺いました。

――議員になったきっかけはなんだったのでしょうか。
両親は、家電販売業を営む商売人でした。個々の世帯に入りながら、その家の課題を見つけ、光を照らし、生活をよくして感謝されるという親の背中を見て成長しました。しかし父親は、「絶対に電器屋にだけはなるな。だから進学校へ行けと。」これには考えさせられましたね。

割と小さいころから、将来なにをしようかという『夢』というよりも、なにかやらなくてはという思いはあったと思います。電器屋のように、自ら社会の将来に光を照らし、感謝される生き方をしたい。その人生の方向先が議員という職業でした。

――前職は何を。
JR東海に入社しました。平成15年10月の品川駅開業を体験できたことは、大きな財産になりました。その後、JR東海を退社し、地元磐田へ戻りNPO法人磐田市体育協会に入会しました。4年勤務したのち、事務局長としてジュビロ磐田メモリアルマラソン、いかまい磐田ふれあいウォーク、静岡県市町対抗駅伝競走大会磐田チームほか、市内のスポーツ発展の裏方として業務をおこなってきました。

――現在、草地さんが議員として取り組んでいることはなんですか。
磐田市では、子ども若者相談センターというところがあって児童虐待、いじめ、不登校、外国人児童といった子どもの社会問題を中心に取り組んでいます。また、子育て支援センターの取り組みですね。子育ての相談だったり、転勤などで移住してきて不安な人なども多いと思います。そういう人たちの受け皿となるよう日々働きかけています。

――子どもの問題は昔も今も変わらず社会問題になっていますよね。
そうですね。
さまざまな声が寄せられますが、私が想像していたよりも深刻だと感じています。県や市の行政、教育委員会、現場の先生なども一生懸命ですがどうしても成果には時間がかかります。すぐには成果がでないけれど、未来はきっと評価される。そういう思いで日々向き合っています。

――現在、さまざまな社会問題があると思います。今取り組まれていることと重なると思いますが、草地さんの考える課題の難しさはどうですか。
多様化しているなかで、人って困っていることってそれぞれ違うじゃないですか。例えば、引きこもりとか不登校とか鬱とか貧困とかってなってみないと分からないと思うんですよね。でも、そうなった時にセーフティーネットがちゃんと働いて通常の社会にもどれるっていう仕組みをつくらないといけない。なってみないとその大変さって分からないと思うんですよね。

そして、その困っている人たちに支援したとしてもそれがダイレクトに相手に刺さるか分からないというところもありますが。それに、大変な思いをしている人たちが5%しかいなければ95%の人たちは関係ない話だと思うんです。けれど、95%の人たちも5%のほうに流れる可能性はかみひとえだと思います。

人はいつどうなるか分からない。だから、95%の人たちに訴えかけていかなくてはいけない。その難しさはありますね。

――仕事をしているなかで、うれしいことはどんな時ですか。
僕は市民との信頼関係を作りたいと思って、街頭活動を続けていますが、やっぱり街頭で話しをしている時に聴いてくださったり、声を掛けてくれたりしていただけるとモチベーションになりますよね。「頑張ってるね」って言ってもたえたりするとありがたいなって思います。

また、先ほどもお話しした子ども若者相談センターの開設は以前からずっと市に提案してきたことだったので、それが実現できたことがうれしかったですね。

――大変な事はなんですか。
自分は「これがいい政策だ」、「こんな仕組みにしたらどうか」と思っていても、それがなかなか実現しないことですね。仕組みを作る行政には、それなりの考え方があることは理解できますので、お互いに丁寧に対話ができ、また私たちがそれを市民の皆様に丁寧に伝えられたらと思っています。

――政治家として仕事をするなかで大切にしていることはなんですか。
市民との対話ですね。現場を意識しながら常に市民の近くにいることと、愛情を持って人と接すること。グローバルに考え、ローカルに行動するということを大切にしています。

仕事とは、
人生を豊かにしてくれるもの

――草地さんにとって仕事とはなんですか。
寝る時間が6時間と考えて仮に18時間起きていたら17時間は磐田のことを考えていますね。それがつまらなかったり無理やりやらされていたり、嫌々やっていたら人生つまらないじゃないですか。昔から自分が満足できる仕事をしたいって思っていて、仕事ほど大事なものはないと思っています。

けれど、人によっては仕事は仕事。8時間、9時間我慢して働いて、他の時間は趣味に充てるよって人もいると思う。僕は、仕事が人生を豊かにしてくれるものだと思っているので17時間働いていてもまったく苦にならないですね。休日も仕事もオンオフがないかもしれませんね。

――線引きがないってことですか。
そうかもしれません。
自分のやりたいことができているので、考えたこともなかったです。例えば、子どもと市民プールに行ってもここのロッカー古いから代えないといけないなとか、子どもたちがもっと気持ちよく利用できるようにするためにどうしたらいいのかなとか。気が付いたらずっと考えていたなんてことはよくありますね。

本当に幸せな生き方をさせてもらっていて、感謝しかないですね。

――最後に、草地さんの今後の展望、目標を教えてください。
磐田市のような自治体は、市民が真ん中、そして子どもたちがど真ん中で政策決定すべきだと思います。子どもたちがおとなになったときに、怒られないようにしていくこと。今までなにをしてきたんだと言われないような持続可能な社会をつくっていくことですね。これからも頑張ります。

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プロフィール

草地博昭 Hiroaki Kusachi

磐田市議会議員

昭和56年生まれ。磐田市出身。国立豊田高専環境都市工学科卒業後、JR東海に入社。建設工事部にて新幹線品川駅新設の立ち上げに従事。その後、地元磐田市に戻り、NPO法人磐田市体育協会事務局長としてスポーツ振興、マラソン大会、まちおこしイベントの企画・運営に携わる。平成25年4月に磐田市議会議員選挙に初出馬し、当選。以後、平成29年4月に2期目の当選。現在に至る。