仕事観「父のあとを継ぐ、二代目」

山田憲嗣(すし天やまだ店主)

人・モノ・食
世の中には、さまざまな仕事や働き方があります。そこで多種多様な職種の人たちにスポットをあて、仕事について訊く本連載「仕事観」
第6回は、創作天ぷら・すし居酒屋を営む、すし天やまだ店主の山田憲嗣さん。山田さんにとって仕事とはなにかを伺いました。

 

山田さんで何代目ですか。

二代目です。

実は、今年の4月30日にオープン予定だったんですよ。だだ、ちょうどコロナが流行り始めた頃で。とりあえずは、テイクアウトのみで始めることにしたんです。

以前、ここは父が三幸寿しという寿司屋を営んでいたんです。オープン日が5月29日だったので、イートインは同じ日にしようと思ってそこをオープン日にしました。父が寿司屋をはじめてからちょうど今年で40周年という節目ということもあってタイミング的によかったのかなって思っています。

寿司を握る店主

もともとお寿司屋さんだったということですが、今はどんなお店ですか。

創作天ぷらとお寿司が食べれる居酒屋というコンセプトでやっています。いずれ自分が店を継ぐことになったとき、どういう形であれ寿司は絶対提供したいと思っていましたし、差別化を図るためにも握りの寿司が食べられる居酒屋にしたいという思いがありました。今でこそ居酒屋でお寿司が食べられるところが増えてきましたが、まだまだこの辺りは少ないので。

前職は何を。

家業を継ぐことを考えて、まずは一度外にでて修行しようと天ぷら和食店に就職しました。その後、もっといろんな知識や経験を身につけたくて創作和食店と創作居酒屋で働かせていただきました。

高校3年生の時、やりたい事がまったくなくて、いざ就活ってなった時に自分には何もなかったんです。でも、昔から一番近くにいた父親をみてて、将来継ぐことを意識してたというか継ぐことが自然の流れなのかなと考えるようになって、料理人を目指すことにしたんです。

寿司を包丁で切る

就職してさまざまな業務をされてきたと思いますが、そこで得たもの、仕事をする上で大切にしていることはなんでしょう。

創作居酒屋で、店長として責任者という立場を与えられたときに感じたことですが、お客様にこちらの気持ちって伝わっているんだなと思いました。僕が店長になってからお客様が激減したんです。

僕は目の前の仕事に追われ、ただこなしている姿勢がお客様に見透かされていたんだと思うんです。その時、もっと成長しないと駄目だなって思ったんです。接客はもちろん、もっと心を込めて料理を作らないといけないといけいなってことを学びましたね。

以前、和食料理人の神田川さんが「料理は心や」ということを仰っていたんですが、こういうことなのかなって分かった気がしました。そう気づいてからは、どうしたらお客様は喜んでくれるんだろうってことを常に考えるようになりましたね。あと、精神的に鍛えられたと思います(笑)

それに、当たり前のことですがあいさつは非常に大切にしています。今、コロナ禍のなかにもかかわらず、わざわざ食べに来てくださるお客様に対して特にそう思うんです。

畳の客間

家業を継ぐために、実家に戻るタイミングやきっかけは何かあったんですか。

将来的に店を継ぐために修行に出ましたが、店長という責任あるべき立場になるまでは、この場所に立ってお客様に料理を提供したり話したりしている自分の姿が想像できなかったんですよね。

店長という立場になっていろんなことを学んだり、こなせるようになっていくうちに、家業で挑戦したいって気持ちが強くなってきました。でも、なかなかその一歩を踏み出せなくって時間だけが過ぎていきましたね。

そんな中、妻に言われたんです。「成功すると私は思うけど、どうせやらないんでしょ」って。その言葉がきっかけでやることにしました。今、こうして自分があるのも妻のおかげです。妻には、感謝しています。

また、去年イチローが引退する時に子どもたちにむけて言っていた言葉があって。「僕は、人から笑われることを成し遂げてきた自負があります。今の若い人は成功するかな、失敗するかなっていうことばかり考えて、行動に移せない人が多い。まずは、挑戦してみて欲しい」

自分が言われているみたいで(笑)その言葉が背中を押してくれましたね。昔から、野球をやっていたのでイチローの言葉が余計に響いたと思います(笑)

現在、仕事をしているなかで大変だと思うことはどんなときですか。

仕事上、大変だなって思うことはないですね。ただ、週末は当然休めないですし、子どもとの遊ぶ時間があまり取れないところですね。でも、僕も昔からそうだったし、子どももなんとなく分かってくれていると思います。

この仕事をしていてよかったなと思えるところは。

人との関わりが持てることですね。この仕事の醍醐味と言えるところですね。いろんな人と話ができるし、いろんなことが聞けて勉強になりますし。いろんなことを吸収させてもらっているので、頭が固くなりません。

肉を焼く店主

仕事とは、
“人様の役に立つこと”

山田さんにとって、仕事とはなんですか。

人様の役に立つことです。世の中の人が求めているものをさまざまな職種の人たちが提供することによって成り立っていると思うんですね。相手のことを考えて何を求めているのかをつねに意識して仕事をしています。自分の子どもにも飲食に限らず、何をしたら人様の役に立つか考えて仕事をしてほしいなって思っています。

求職者や仕事について考えている人へ、なにかアドバイスはありますか。

最初から自分の合う仕事だったり、自分ができる仕事は分からないと思うんですよね。だから、目の前にある仕事をまず120%頑張る事だと思うんです。自分も、修行中逃げ出したいと思った時は何度もありました。

僕は、料理人という職業を選択しましたが、とにかくどんな仕事だっていいと思うんです。狭いなかで考えず、これまで以上に広い視野でいろんな仕事をみてみたらいいのかなって思います。とにかくチャレンジしかないと思うんです。

天ぷらを盛り付ける

最後に、山田さんの今後の目標や展望をお聞かせください。

お客様がよりハッピーな人生を送る一つの手段として、すし天やまだが選ばれる。そんなお店にしていきたいです。そして、これからお客様やスタッフとして働いてくれる未来を担う若者たちが、もし悩んだり壁にぶち当たったときに、一緒に悩んだり、一緒に挑戦できる、そんな温かみのある人間でありたいと思います。

取材日|2020.10.06
(※撮影時のみマスクを外しています)

 

すし天やまだ
静岡県磐田市小島779
営業時間:17時~24時(日曜日のみ17時~23時)
定休日:毎週月曜日・月一回連休有り
TEL:0538-32-5359

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プロフィール

山田憲嗣 Noritsugu Yamada

創作天ぷら・すし居酒屋 すし天やまだ

静岡県磐田市出身。高校卒業後、天ぷら和食店に入社。その後、創作和食店、創作居酒屋で腕を磨く。創作居酒屋にて店舗責任者として経験したのち、長年地元に愛され続けた父の寿司屋を二代目として受け継ぐ。創作天ぷらと握りの寿司を提供する居酒屋として父の味を継承しつつ、オリジナリティあふれる料理を提供している。特に、自慢のうなぎの天ぷらを目当てに来店するお客がいるほどの人気。
Instagram:@ynoritsugu
Facebook:すし天やまだ