仕事観『地元からできることを』

嶺岡慎悟(掛川市議会議員)

人・モノ・食

世の中には、さまざまな仕事や働き方があります。そこで多種多様な職種の人たちにスポットをあて、仕事について訊く本連載「仕事観」。
第7回は、掛川市の地域活性化のために日々、まちと市民と向き合っている掛川市議会議員の嶺岡慎悟(みねおかしんご)さん。嶺岡さんにとって仕事とはなにかを伺いました。

 

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―東京の大手ゼネコンで働いていたということですがなぜ、静岡へ戻ろうと。

父が大工だったということもあって高校の頃に建築ってどう?って聞いたことがありました。父は、自分が建てた建物が残ることがこの仕事の魅力と言っていて、たしかに面白そうだなって思ったのが建築に進むきっかけでしたね。

私はゼネコンにて3年間構造設計業務をした後、現場監督という立場で、段取りを組む仕事をしていました。正直、相手のことを考えるよりも、とにかく会社の利益を第一に考えて現場を回すことだけを常に意識していましたね。

上司や先輩からは足場が取れて建物が完成したときは感動するよ!って聞かされていたのですが、いざ、建物が完成して目の当たりにしても、どちらかというと感動より大変だったなという思いの方が強かったんですよ(笑)涙もろいんですけど結構その辺がドライだなと自分で感じました(笑)

嶺岡議員

ただ、この現場監督という仕事をしていくなかで家族との時間もそうですが家族を犠牲にしていたと思います。もちろん、やりがいや充実感もありましたが、家族に対してその犠牲を良しとはできなかったんですよね。家族って何だろう。幸せって何なのかって。

私は静岡県の掛川市出身で、妻も隣町の菊川市出身なので家族の幸せを考えたら静岡に戻ってくることが一番の幸せなんじゃないかなって思い始めて。故郷に戻ってくることで、妻の両親も含めて家族が幸せになれればと思って子どもが生まれるタイミングで戻ることにしました。

―議員になるきっかけは。

静岡県掛川市に戻った後は、1時間半の通勤時間をかけて静岡市役所に勤めていました。 それで、役所で働いているなかで自分が生まれ育った掛川のために働きたいという気持ちが強くなっていったんです。

―公務員は、安定していると世間では言いますよね。辞めることに迷いはなかったんですか。

たしかに、安定はしていたと思います。けれど、迷いはなかったですね。昔から一生悔いのない仕事をしたいって思っていたことが沸々と湧き上がってきたんですよね。元をたどれば街づくりに魅力を感じていました。

父の会社を継ぐために、建設業の道に進みましたが建物を建てる、それも街づくりの中心でしたし、なにより市長の仕事に興味があって。学生時代から、掛川市の榛村純一(しんむらじゅんいち)元市長に憧れていたこともあったんですよ。まちのために身を粉にして働いている姿に。

自分の人生は本当にこのままで良いのかと考えたときに、やっぱり悔いが残ると思って掛川市議会議員選挙に出馬することにしました。まぁ、榛村元掛川市長に憧れていたとは言っていましたが、本当に自分が、政治の世界に入るとは想像できなかったですけどね。

嶺岡議員

―嶺岡さんの仕事って、なんですか。

行政に対しての監視役。地域の声を行政に届けることが主な仕事ですね。市民の方々は、まちに対する不安や不満を誰に言ったらいいか分からないと思うし、私たちが行政との間に入って解決できるように導くということが中心になるかと思います。

また、掛川市の中でもその地域によってそれぞれの特性があるんです。私がいるここのまち(地区)は農村部と言われているエリアで、農村部は農村部のまちづくりがあります。コンパクトシティという目線で考えれば、まちの中心に人を集めればお金もかからないし、経済的には最小限に抑えられると思うので実際、農村部の地域は必要ないということになってしまいます。しかし、農業がなければ、人は生きていけないし、そこには、多くの方が暮らしています。

嶺岡議員と有権者

だからこそ、重要な立場にいると思っていますし、そのために自分がいると思っています。具体的にこのまちを良くしていくためには何が必要か掛川市全体を考えながらも、農村部の代表者としての意識は常に持って動いています。

―嶺岡さんが現在、取り組んでいる政策はどのようなものですか。

デジタル化を進めていくこと。これは、掛川市の方も積極的に進めていくそうなのでいい方向にいったと思います。これから掛川市もデジタル改革が進んでいくと思います。それと、今一番力を入れているのは小中一貫校の学校再編計画ですね。

これは掛川の全市民に関わることなので非常に重要なことです。学校はまちづくりの中心ともなるので必ずや良い方向になるようにしてかなくてはなりません。

嶺岡議員

―仕事をするうえで、大切にしていることは。

プライオリティ。優先順位をつけながらも、バランス力を大切にしています。

―政治家という仕事。大変だなと感じるところは。

政治家という立場なので家族にもリスクを背負ってもらわないといけないところですね。特に、妻には窮屈な思いをさせていると思います。

―仕事以外で外出するとき、服装などは気をつけたりしているんですか。

スーパーに行くにしてもある程度、いつ誰と会っても良い格好を心掛けていますね。どうしても、格好のことは言われたりもするし、他の方が言われていることも聞いたこともありますしね。逆に、常にスーツでいるのも言われるんですよね(笑)

難しいですね。正解が分からない(笑)

そうですね。賛否あるのでほんと難しい。ラフな格好は親近感があって印象がいいということも聞きますが、ラフすぎても言われますしね(笑)

―仕事は、楽しいですか。

んーどうですかね(笑)もしかしたら建築をやっていた時の方が仕事の成果がカタチとなるので面白みがあったのかもしれません(笑)市議会議員になってからはずっと悶々としていますね。

―悶々ですか。

地域の方の要望だったり。どうすれば解決できるか。一つひとつ聴いて解決したいけれどなかなか実現できないこと。政治家と言っても私の立場は、出来ることが限られるし、自分ひとりではできないことの方が多いところに非常にやるせない気持ちでいます。

偉くなりたいということではなく、今よりもっと責任ある立場を目指すことによって市民の方たちのためになると思うんです。声を実現すること。声をカタチにすることが増えてくると思うんですよね。

今は種まきの状況だと思っています。まだまだ、自分が考えていることのほとんどが実現できていないので苦しい時です。歯をくいしばって頑張っている所です。市の将来を左右する大きな政策に関わって、市民の思いを叶えられたとき、きっと喜びは計り知れないでしょうね。

嶺岡議員

仕事とは、
“自分に対してどう価値を見出し世の中に貢献できるか”

―嶺岡さんにとって仕事とはなんですか。

生きてる価値。自分の価値を高めるためですかね。社会人1、2年目の頃はお金でしたけどね。まずは、お金を稼ぐことが大切だと思っていました。お金は生きていくためには必要なのは今も感じていますが、仕事ってそういうことだけじゃないって働いていくうちに思うようになっていきました。今は自分に対してどういう価値を見出して世の中に貢献できるかって思いますね。

―最後に、嶺岡さんの今後の展望、目標をお聞かせください。

高齢者が住みやすく、みんなが住み続けたい、そして帰ってきたいと思える掛川市を創ること。そのためには、自分がもっと責任ある立場にならなければいけないと思っています。

取材日|2020.12.1
(※撮影時のみマスクを外しています)

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プロフィール

嶺岡慎悟 Shingo Mineoka

掛川市議会議員/嶺岡建築一級建築士事務所代表/NPO法人高天神理事長

昭和56年生まれ。掛川市出身。国立信州大学社会開発工学科卒業後、国立名古屋工業大学大学院社会工学専攻終了後、大成建設株式会社に入社。構造設計、現場監督として従事。5年間の勤務を経て、地元静岡に戻り、静岡市役所に入庁。住宅政策や建築確認審査業務に従事。掛川市議会議員選挙に出馬するため、退庁。翌年の平成29年に当選。現在、掛川市議会議員一期目。